小説「サークル○サークル」01-395. 「加速」

 アスカが事務作業を始めて数時間後、アスカの携帯電話が突然鳴った。
 ディスプレイに表示されたのはレナの名前だった。
「はい」
「アスカさん、ですか?」
 控えめなレナの声が聞こえる。その声はどこか不安そうだった。
「どうしたの?」
「今、彼と一緒にいるんですけど……」
 アスカの心臓が一つ高鳴った。
 予想外の電話だった。けれど、いつか来るだろう、と思っていた電話でもあった。
 時計に目を遣ると、まだ夕方だ。ヒサシは仕事中ではないのだろうか、と思ったけれど、アスカは「何かあったの?」とだけ言った。
「今から、アスカさんに来てもらうことは出来ませんか?」
 レナの声はどこか困惑しているように聞こえる。
「わかったわ。今、どこ?」
 アスカは詳細を聞き出すことなく、承諾すると、レナが指定してきた場所へ行くことにした。レナが指定してき場所は事務所から数駅離れたカフェだった。
 アスカはレナからの電話を切ると、紅茶のカップもそのままでコートを着ると、急いで事務所を後にした。

小説「サークル○サークル」01-394. 「加速」

 この案件が終わったら、シンゴと旅行でもしようかな、とアスカは思っていた。
 正直、今回の案件で心も身体も疲れ切ってしまっていたし、少し休みが欲しかった。今までのアスカだったら、1人で旅行したいと思っていただろう。けれど、今のアスカはシンゴと一緒に旅行したいと思っていた。
 ここまで自分の心境に変化が起きたことにアスカはもう驚いてはいなかった。
 今回の案件を通じて、アスカはシンゴの大切さに気が付いたのだ。
 シンゴがいてくれたことで、アスカは今回の案件を乗り切れそうだと思っていたし、ヒサシとの関係を思いとどまれたのも、シンゴの存在があったからだ。
 自分の狡猾さや不安定さを目の当たりにして、アスカは自分の夫がシンゴでなければ、誤った選択をしていたのではないか、と思う。
 きっかけはシンゴが何かをしてくれたことではない。シンゴがその場にいつもと変わらずいてくれたことだった。
 アスカはシンゴの確かな存在感にいつしか安心感を得ていたのだ。

小説「サークル○サークル」01-393. 「加速」

 アスカは事務所に着くと、いつものようにお湯を沸かし始める。煙草に火を点け、脚を組むと机に置かれている書類に目を通し始めた。
 他の所員が関わっていた案件が無事終了したということは、電話で連絡を受けて知っていた。その詳細がこの書類には書かれてある。
 あとは私の案件が終われば、清々しく年が越せそうね……とアスカは思う。
 もう一息で、アスカの関わっている案件は完遂される。けれど、そのあと少しが上手くいくのかどうかがずっとアスカの心の中で引っかかっていた。
 やかんがお湯が沸いたことを甲高い音を鳴らして知らせる。アスカは煙草を灰皿に置くと、立ちあがった。
 いつものようにやかんから、ポットにお湯を入れる。茶葉が踊るように渦を巻いた。
 ぼんやりとポットをを見つめていると、お湯が少しずつ紅茶の色に染まっていく。
 アスカはそのまま三分間じっと見つめ続けていた。
 その間に彼女が考えていたことは、レナのことでもヒサシのことでも、マキコのことでもなかった。
 自分の夫であるシンゴのことだった。

【Hayami】あけましておめでとうございます☆


あけましておめでとうございます!

Hayamiです。

あっという間に、2014年来ちゃいましたね!

12月31日まで仕事して、1月1日の夜から仕事を始めました(笑)

世の中は9連休だったそうですね……。

でも、仕事がある!!ということが、ありがたくも安心の出来ることなので、

正月休みがなくたって、へっちゃらです☆

皆さんにとって、今年もハッピーな1年になりますように!!

本年もよろしくお願い致します☆

≪お知らせ≫

個人ブログ「Hayami’s FaKe SToRy」にて、

お仕事依頼・作品感想用メールアドレスを設置しております☆

アドレスはhayami1109@gmail.comです。

作品の感想等送っていただけますと幸いです。

メールは直接私のところまで届きます☆
≪番外編のお知らせ≫

番外編「ドライフルーツ・シンキング~マンゴーな過去に~」はもう読んでいただけたで
しょうか?

作家のシンゴの視点で語られるアスカとのなれ初めや、

シンゴが考えていることを物書きとして描いている、というお話です。

全10回となっておりますので、ぜひこちらも併せてご覧下さい☆

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次回もよろしくお願い致します☆

小説「サークル○サークル」01-392. 「加速」

シンゴが書斎に行き、メールを確認すると、担当編集者である元妻からメールが来ていた。
開封すると、“確認しました。大筋はいいと思います。詳細については、ゲラをお送りするのでご確認下さい”と書かれてあった。
大筋に問題がないということは、内容に関して大きな修正がないということだ。シンゴはほっと胸を撫で下ろす。
自分の書く作品にはいつだって、不安はつきものだ。
自分が面白いと思ったって、それを最初に読む編集者が面白いと感じるかどうかはわからない。ましてや、今回はプロットの提出もなかったのだから、尚更不安だった。
シンゴはメールの返信を終えると、伸びをした。椅子が軋む。
これで当分はゲラチェックに時間をかけることになるだろう。
アスカにも良い報告が出来ることにも、シンゴはほっとしていた。
さて、とシンゴは思う。
新作のプロットを書く為にシンゴは再びパソコンに向かった。
今度はどんな話にしようか、と思いを巡らせる。
純愛ものでもいいし、ミステリーでもいい。今なら、どんな話でも書ける気がした。


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