小説「サークル○サークル」01-398. 「加速」

「レナとは別れます」
突然、ヒサシが言った。あまりに突然すぎて、アスカは面食らう。
もう少し、前置きがあるものだとばかり思っていた。
「それは良かったです」
“本当に?”という言葉が口をついて出そうだったけれど、発言を覆されたくなかったアスカは直前で肯定の言葉を選んで口にした。
「但し、一つだけ条件があります」
「なんでしょう?」
一体、どんな無理難題を吹っかけられるのだろう、とアスカは覚悟を決めた。
「彼をここに呼んで話をさせて下さい」
「彼とは?」
「依頼者の彼ですよ」
「わかりました」
アスカがあっさり了承したことに、ヒサシは眉を顰めた。
「あなたの仕事の報酬は減るんじゃないんですか? それでも彼をここに呼ぶと?」
「ええ。あなたがレナと別れてくれるなら、仕方がいなわ」
「俺には理解出来ない。どうして、そこまでして、レナの為に一生懸命になれるんですか?」
「これも縁だからかしら」
アスカはそう言って、余裕の笑顔を浮かべて見せた。


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