小説「サークル○サークル」01-334. 「加速」

「それから、メールの連絡も絶った方がいいと思うけど、我慢出来る?」
「一ヶ月くらいならね。元々、メールはあんまり好きじゃないんだ」
「でも、マメそうよね」
「それは、女性の為さ」
この男は筋金入りの女たらしなのだとアスカは思った。相手の女を愛しているから、マメにメールをしたり、オシャレなバーに連れて行ったりするわけではないのだ。ヒサシがそれらをこともなげにこなすのは、自分が女を囲っておきたいからに他ならない。
「あなたの本音を聞いたら、がっかりする女性は多そうね」
「だろうね。でも、いつだって、本音と建前は用意されているものだろう?」
「そうかもしれないけど、恋愛してる時は相手の全てをそのまま信じたいものよ」
「へぇ、気味がそんなことを言うなんて意外だな。もっと現実主義かと思ってたよ」
「仕事とプライベートは別なの」
アスカの一言にヒサシは笑った。
「一体、何人の女の子と付き合ってるのよ」
アスカはずっと前から気になっていたことを訊いてみた。

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