小説「サークル○サークル」01-335. 「加速」

「何人だと思う?」
「そうね……。五人くらいかしら?」
「惜しいな」
「もっといるの?」
「まさか。四人だよ。ご飯を食べるだけの関係なら、片手じゃ足りないけど」
「あの子も四人のうちの一人……か」
「ひどい男だと思った?」
ヒサシは悪戯っぽく微笑んで、アスカを見た。
「前から思ってるわ。あなたのことを探る為に、ここでアルバイトを始めてから、沢山の女の子と一緒にいるところを見てきたもの」
「妻だけじゃ足りないんだよ」
「足りない?」
「ああ、結婚は見合いで、家柄も悪くないし、性格も普通、外見は良かったし、結婚してもいいかな、と思ったんだ。ちょうど、少し前に五年付き合った彼女と別れたところでね。思考が鈍っていたんだと思う」
ヒサシはいつも以上に饒舌だった。きっと今まで誰にも言えなかった鬱憤が溜まっていたのだろう。
「結婚してみてわかったのは、料理も大して上手くないし、夜もいまいちつまらない。美人は三日で飽きるっていうけど、外見しか取り柄のない女ほどつまらないものはないよ」
ヒサシは一気にそこまで言うと、グラスを煽った。

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