小説「サークル○サークル」01-381. 「加速」

「どうして、浮気をするのかしら?」
 アスカはなんの脈絡もなく言った。
「それはパートナーにない魅力が別の人にあるからじゃない?」
「でも、そんな人、たくさんいるでしょう?」
「僕が言ったことは大前提で、その上で性的な魅力があるからじゃないのかな」
「セックスしたいってこと?」
 単刀直入なアスカの言葉にシンゴは思わず苦笑した。ぼかした言い方をしないところを見ると、アスカはすでに随分と酔っ払っているように見える。
「そうなるね。男女の関係になりたいと思う、という部分が浮気では占めるウエイトが大きいと思うよ」
「どうして、パートナーじゃダメなのかしら?」
「よく言うマンネリの場合もあるだろうし、そもそも、パートナーとのセックスに満足していない場合もあるだろうね」
「最初から相性が良くないってこと?」
「そう。どちらかが我慢している。様々な嗜好があるけれど、食べ物のようにその嗜好を簡単に伝えられるっていうわけでもないだろう? だから、どちらかに我慢が生じる」
「確かに……」
 そう言って、アスカはシンゴの顔をじっと見た。


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