小説「サークル○サークル」01-265. 「加速」

アスカはしばらく悩んだ後、口を開く。
「そうね……。ターゲットと接触したけど、あの男をどうこうっていうのは無理だと思うの。だから、あの女の子を別れさせたいって思うような方向に持って行きたいんだけど……。今回の飲みで畳みかけるつもりではいるわ」
「そうなんだ……」
シンゴはぽつりとつぶやくように応えると、チャーハンを立て続けに口に運んだ。
「ターゲットには会わないの?」
「そうね……。状況次第ね。明日、あの女の子と別れてから、バイトしてたバーに行って、接触するのもアリかな……とは思ってる」
「今日じゃないんだ?」
「えぇ、不倫相手の状況を詳細に確認してから、ターゲットに接触して、有効な方法を取った方がいいかな……とは思ってるわ」
シンゴはアスカを尾行するなら、明日の夜だと思った。
仕事としてアスカは接触すると言っている。それは、万が一、アスカが帰って来なくてもシンゴに怪しまれない為だろう。
シンゴは次第に自分の鼓動が速まっていくのを感じていた。それは緊張から来る動悸だった。

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