小説「サークル○サークル」01-222. 「加速」

確かに恋人はアスカより、数歳上で大手企業に勤めるエリートサラリーマンだったから、彼の収入だけで十分生活していくことは出来たし、彼の仕事の忙しさを考えると、家庭に入り、彼を支えるのが一番良い方法だとも思えた。
けれど、アスカは家庭に入るという、その条件を飲むことが出来なかった。話し合いに話し合いを重ねた結果、見据えている将来が違うという結論から、アスカはその恋人と別れた。
その数年後、アスカはシンゴと出会い、シンゴの猛アタックにとうとう結婚を決めたのだ。自分にはこういうタイプの方がお似合いなのかもしれない、その時はそう思って結婚したが、結婚生活が続くにつれて、うだつのあがらない夫に結婚は間違いだったのかもしれない、と思うことも度々だった。
自分のした選択が良かったのか悪かったのか、アスカには時々わからなくなる。
人生は選択の連続で、その答えが正解かどうかなのかは、死ぬ時にならないとわからない。否、死んでもわからないものなのかもしれない。
けれど、生きていれば、常に自分の判断の正解不正解を気にしてしまう。
少なくとも、アスカはマキコから依頼を受けてから、様々なことを考え、そして、悩んでいた。

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