小説「サークル○サークル」01-156. 「加速」

 翌日、アスカは事務所でいつものように煙草をふかしながら、机の上に足を上げ、書類と睨めっこをしていた。
「さーて、どうするかな……」
 書類に目を通したのは一体何度目だろう、と思いながら、アスカはまた最初から書類に目を通し始めた。
 アスカの持っている書類はマキコが言っていたヒサシの浮気相手の個人情報だった。
 アスカの勘は見事に的中していたのだと、写真を見てアスカが安堵の溜め息をついたのは、今日の朝だった。
 どうしても別の案件の確認で手が離せなかったアスカは、所員に浮気相手の勤めているカフェのスタッフを調査するように指示を出していた。そして、アスカの睨んだ通り、そのカフェのスタッフの中に、見事ヒサシが連れて来ていたあの女がいたのだ。
「こういうのがタイプだったとはねぇ……」
 煙草をふかしながら、アスカは一人ごちる。
 女の名前はレナと言い、現役大学生だった。最近、二十歳になったばかりなのか、と誕生日を見て、アスカは驚く。年齢の割に落ち着いているな、と思った。

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