小説「サークル○サークル」01-390. 「加速」

「じゃあ、僕はメロンパンにしよう」
 そう言って、シンゴはアスカにチョコクリームパンを手渡し、自分はメロンパンを手に取った。
「足りなかったら、これも食べていいからね」
 シンゴは言って、ベーコンマヨネーズパンを指差した。
 アスカは「うん」と答えて、シンゴを見る。二人は黙ったまま、パンの袋を開けると、かじりつき始めた。
 時折、パンの袋のカシャカシャという音と咀嚼音がするだけだった。シンゴはぼーっとしながら、食事をするアスカをたまにちらりと見ていたけれど、話しかけはしなかった。
 今のアスカに何かを言っても、明確な返答が得られそうになかったからだ。
 二人はほぼ同時にパンを食べ終わる。
「もう少し食べる?」
 シンゴの問いにアスカはしばらく考え込んだ。
「ヨーグルト食べようかな。シンゴもいる?」
 アスカは立ち上がり、シンゴを見た。
「うん、じゃあ、僕も」
 シンゴの返事にアスカは冷蔵庫までヨーグルトを取りに行く。アスカはヨーグルトの蓋を取ると、スプーンを添えてシンゴの前に置いた。

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