小説「サークル○サークル」01-427. 「加速」

「それなら、なんの問題もありませんね。良かったわ。別れさせてもらえて!」
マキコは満面の笑みで言う。
「今日、残りのお支払い分を持って来たんです」
マキコはバッグを開けると、封筒を取り出した。アスカは大金を持って来たことに驚いた。しかし、対照的にマキコは平然としている。
「お手数かけて申し訳ないのだけど、金額が間違っていないか、確認してくださる?」
「お預かりします」とアスカは言って、札束を数え始める。全て数え終ると、アスカは再び封筒の中に戻した。
「ちょうど頂戴致します」
アスカは笑顔を向けて、封筒をテーブルの自分の手元に近いところに置く。
「これで安心して、子どもが産めるわ」
マキコの言葉にアスカは言葉を選びながら、口を開いた。
「あの……この間、喫茶店にいらっしゃってましたよね?」
「喫茶店? ああ、数日前かしら?」
「そうです」
「それがどうかしましたか?」
マキコは何を言っているのだろう、と不思議そうにアスカのことを見た。

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