小説「サークル○サークル」01-177. 「加速」

 アスカの後をシンゴがつけていたなんてことがアスカにバレれば、軽蔑されたって仕方がない。アスカの性格上、「私が不安にさせてしまったのね。ごめんなさい」なんてしおらしいことを言うタイプではないことは、シンゴが一番よく知っている。
 アスカが浮気をしていて、尚且つ、シンゴがアスカの後をつけていたことがわかれば、離婚は免れないだろう。離婚はシンゴにとって、最悪の結末だ。その最悪の結末を回避する為に、シンゴは今必死でアスカの仕事に協力し、仕事にも精を出している。
 動機は不純かもしれないけれど、そのくらいシンゴにとって、アスカはかけがえのない存在だった。
 シンゴはプリントアウトした原稿を持って、リビングへと向かう。ソファの前にあるローテーブルに置くと、ゆったりとソファに腰をかけた。足を組み、テレビをつける。テレビにはワイドショーが映り、大物演歌歌手のスキャンダルが取り沙汰されていた。ぼんやりとしたまま、テレビに視線を向けていると、シンゴはうつらうつらとし、いつの間にか眠りに落ちてしまっていた。

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