小説「サークル○サークル」 01-48. 「動揺」

 ヒサシの振る舞いは女から見れば魅力的だ。女が男に欲する色気も十分とは言えなかったが、若い女を虜にするのに必要な分は持っている。だからと言って、不倫というリスクを犯してまで付き合いたいと思えるほど、イイ男かと訊かれれば、アスカはノーだという気もしていた。不倫はリスクが高すぎる。不倫していたことが相手の奥さんにバレれば、慰謝料だって請求されるのだ。そんなスリリングな恋愛を好んでしたいとは、いくら旦那に不満のあるアスカでもやはり思えなかった。
けれど、ヒサシと付き合っている不倫相手たちにはそんなことは関係ないのだろう。それくらい、ヒサシに入れあげているのだとしたら、一体何が理由なのか。アスカは首を捻った。そして、一つの結論に辿り着く。そうか、テクニシャンなのか、と。そこまで考えてアスカは一人苦笑する。自分がそんな下世話なことを考えてしまったことに、急に気恥ずかしさと居た堪れなさを感じたのだ。いくら自分が最近ご無沙汰だからと言って、そんなことを想像してしまうなんて、とも思った。でも……とアスカは思う。そう考えるのが、一番しっくり来るのも事実だった。

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