小説「サークル○サークル」01-426. 「加速」

「お電話でも少しお話させていただきましたが、今日、こちらに来ていただいたのは、ご依頼いただいた件の結果をご報告をさせていただきたかったからです」
「はい」
マキコはあの日、アスカに不倫相手と一緒のところを目撃されているのに、動揺するとこなく、淡々としている。アスカは深呼吸をして、落ち着きたいのを堪えながら、続けた。
「結果から言いますと、今回のご依頼は無事完遂することが出来ました」
「ありがとうございます」
「正直に申し上げますと、不倫相手の方に私が接触した時点で、ご主人は私が不倫相手とご主人を別れさせる為の別れさせ屋だということにお気付きになられました」
「でも、完遂はされたのでしょう? 結果が全てです。特に過程は重視しません」
マキコからの意外な言葉にアスカは動揺しそうになったが、ギリギリ持ち堪えた。
少し、先が思いやられるな、と思ったが、マキコへの報告はまだ始まったばかりだ。
「そうですか……。そう言っていただけると、こちらとしても、ありがたいです。ですが、一応、別の方からの依頼、という勘違いをご主人がなさっていたので、その勘違いを利用させていただいて、奥様からのご依頼だということはバレずに済みました」

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