小説「サークル○サークル」01-400. 「加速」

 何度目かのドアベルの音に視線を向けると、入口にユウキが立っていた。その肩は小さく上下している。急いでここまで来たことが容易に想像出来た。
 ユウキはアスカとレナを見つけると、軽く会釈をして、アスカたちの座る席へとやって来た。
「お待たせしました」
 若干、息を切らしながら、ユウキは言った。
「こちらにどうぞ」
 アスカはそう言って、自分の隣を指す。ユウキは「ありがとうございます」と言って着席した。
 ユウキが入って来たことに気が付いたウェイトレスはおしぼりとお冷を持って来る。ユウキがコーヒー注文すると、ウェイトレスは深々とお辞儀をして立ち去った。
「急にお呼び立てしてしまってごめんなさい」
「いえ、大丈夫です」
 アスカの言葉にユウキはしっかりと答えた。その様子から、妙な緊張などはしていないことがわかる。ユウキは覚悟を決めてここに来ているのだろう。
 しばらくすると、ウェイトレスがユウキの注文したコーヒーを持って来た。
 ウェイトレスが立ち去ったのを見計らって、アスカは口を開いた。

Facebook にシェア
GREE にシェア
このエントリーをはてなブックマークに追加
[`evernote` not found]
[`yahoo` not found]

コメントは受け付けていません。


dummy dummy dummy