小説「サークル○サークル」01-376. 「加速」

 しばらくすると、ウェイトレスに案内されて、ユウキがやって来た。
「お待たせしました」
「突然、お呼び立てしてごめんなさい」
 アスカは立ち上がり、頭を下げる。
「別れさせ屋エミリーポエムの所長をしています」
「アスカさん、ですよね」
「はい。あなたはユウキ君ね」
「そうです」
「レナさんから聞いてるわ」
「俺も聞いてます。俺が呼ばれたってことは、レナの不倫のことについてですよね」
「ええ、その通りよ。どうぞ、お座りになって」
 アスカとユウキのやりとりを見ながら、レナは居心地の悪そうな表情を浮かべていた。
 ユウキの頼んだブレンドが運ばれてくると、アスカは本題を切り出した。
「実はあなたにお願いしたいことがあって、ここに来てもらったの」
「レナが不倫をやめてくれるなら、どんなことでもします」
「そう言ってもらえて、心強いわ」
「それで俺は何をすればいいんですか?」
 ユウキは真剣な眼差しをレナに向けた。
「私にレナさんと不倫相手を別れさせたいと依頼した人の振りをしてもらいたいの」
 アスカもユウキの目をしっかりと見据えて言った。

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