小説「サークル○サークル」01-369. 「加速」

「取り敢えず、乾杯」
ヒサシがグラスを持つと、アスカもグラスを持った。
どこか腑に落ちない表情のまま、アスカはヒサシとグラスを交わす。
シャンディーガフがアスカの喉を勢いよく流れていった。
「レナをいっぱいいる中の一人として見るのか、レナをたった一人しかいない人として見るのかで、大きく変わるだろう?」
「それはそうだけど……。どんなものでも、そういった見方をすることは出来るわ」
「その通り。だから、俺はたった一人しかいない人として、レナを見ることも出来るし、いっぱいいる中での一人という見方も出来る。本命ではないと考える時はいっぱいいる中の一人だし、手放したくないと考える時は、たった一人しかいない人になる」
「なるほどね……」
アスカはシンゴから言われていた相槌を打つ。さも理解、納得しているような「なるほど」という言葉を使いながら、次の切り替えしを考える、という方法だった。反射的に答えるよりは、慎重に答えた方がいいとも、あの紙には書かれてあった。

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