小説「サークル○サークル」01-365. 「加速」

でも、僕は作家だし、想像力に関しては、ターゲットよりも優れているはずだ、とシンゴは思う。どんな手段でターゲットが切り返して来ようとも、太刀打ち出来るだけのアイデアを出せるはずだとも思っていた。
問題はアスカがどういう選択をするか、だ。
シンゴは不安だった。
アスカはターゲットに心を奪われかけていた時期がある。もし、もう一度、ターゲットがアスカに好意を寄せたとしたら、アスカはターゲットの方に転がってしまうかもしれない。
だったら……とシンゴは思う。だったら、シンゴがアスカのブレーンになればいいのだ。
相手は男だ。女のアスカより同じ男の自分の方が戦うには適している、とシンゴは思った。
シンゴはテレビを消すと、書斎へと向かう。
眠たさを感じながらも、シンゴはシミュレーションを繰り返し、まとまったアイデアは忘れないようにデータとして残していく。
シンゴは自分がアスカのことでこんなにも真剣になるとは思ってもみなかった。

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