小説「サークル○サークル」01-360. 「加速」

「どういうこと?」
「別れさせ屋っていうのは、その方法にもよるけれど、探偵とは違って、ターゲットに顔がバレることもあるだろう?」
「確かに……。でも、あの時はターゲットは男で、相手の女――今回の依頼者だけど、彼女には今回みたいに接触はしていないわ」
「君は接触していない、と思っているかもしれない。でも、本当は間接的に接触していたとしたら?」
「そんなこと……」
「ないとは言い切れないだろう? いつどこで監視されているかなんてわからないじゃないか」
「それって、私が探偵に監視されてたって言いたいの?」
「その通り」
 シンゴは涼しい顔をして言う。そんなシンゴをアスカはつまらなさそうに見た。
 まさか、私が監視されていたなんて――。
 アスカはそう思いながらも可能性としては、ゼロではないな、と思っていた。
 随分、昔のことになるから、アスカの記憶も曖昧だ。自分の仕事の詰めが甘かったとは思わない。けれど、探偵だって、プロだ。こちらが気付くようなヘマはしないだろう。
 そこまで考えて、アスカは溜め息をついた。
 どんなに過去の仕事の失敗を悔やんでも、今の自分になんのプラスももたらさない。

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