小説「サークル○サークル」01-351. 「加速」

「どういうこと?」
アスカは写真をまじまじと見る。
その写真は別の案件で対象者を写したものだった。
ターゲットである男性の少し後ろにマキコが写っている。
「マキコは別の案件で不倫相手だったってこと……?」
混乱する頭の中をアスカは整理しようとする。
「この写真の書類は……」
アスカは写真の案件の書類を探そうと、山積みになっている書類に手を伸ばした。
その瞬間、ばさばさと書類の山が崩れ、紙が散乱する。
「最低……」
アスカはしゃがみこみ、書類を拾い始める。
時間が気になって、時計に目を遣れば、マキコが来る五分前だった。
取り敢えず、散らかった書類を拾い集め、何事もなかったように再び机の上に書類を置いた。
それと同時に来客を知らせるインターホンが鳴った。
「どうぞ」
ドアを開けて、アスカはマキコを出迎える。
そのお腹は以前会った時よりも、幾分か大きくなっているように見えた。これでもまだヒサシが気が付いてないのだとしたら、きちんと妻のことを見ていないのか、よっぽどアホだ、とアスカは思った。

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