小説「サークル○サークル」01-320. 「加速」

「ユウキ……」
 レナは目を大きく見開いて、ぽつりとつぶやいた。
「知り合い?」
「はい……。幼馴染で……」
 しかし、その様子は明らかにただの幼馴染という感じではなかった。アスカはレナとユウキの顔を交互に見る。二人とも言葉を発しない。
 視線を先に反らしたのは、レナの方だった。
「ごめんなさい。座りましょう」
 レナに言われて、アスカは黙ったまま、頷くと席に着いた。
「いいの? 挨拶しなくて」
 アスカに言われて、レナは左右に頭を振った。
「いいんです。関係ありませんから」
「……」
 関係ないと言うわりには、随分動揺していたように見えたけれど、アスカは敢えて、その話題には触れなかった。
 レナの幼馴染とは少し離れた席に着いた為、こちらの会話が聞こえることはないだろう。けれど、やはり、レナは視線が気になるようで、たまに幼馴染の方をちらちらと見ていた。
 アスカとレナは思い思いに注文をして、シェアすることにした。料理が運ばれてくる前に飲み物がすぐに運ばれて来た。二人の注文したのは、ビールだった。

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