小説「サークル○サークル」01-313. 「加速」

 がちゃりと玄関で音がした気がして、シンゴは書斎から出た。玄関を見ると、明かりが点いていた。アスカが帰って来るにはまだ早い。シンゴは不審に思いながら、恐る恐る玄関の方へと歩いて行った。玄関とリビングを繋ぐドアに手をかけようとした瞬間、ドアが押し開けられた。
「っ……」
 シンゴは息を飲み、ドアの向こうの相手を見た。
「びっくりしたぁ……」
 アスカはシンゴの予想外の出現に目を丸くする。
「なんだ、アスカか……」
「なんだとは何よ」
「いや、泥棒かと思って……」
「泥棒は電気点けたりしないわよ」
「それもそうだね……」
 アスカは胸を撫で下ろしているシンゴをよそに、リビングを通り抜け、寝室へと向かった。しばらく呆然としていたシンゴだが、不思議に思い、アスカの後を追った。
「どうしたの? 何かあった?」
 ノックもなしに寝室に入るなり、シンゴはアスカの後ろ姿に向かって言う。
「ちょっと、入って来ないでよ」
 アスカは振り向きざまにシンゴを睨んだ。アスカはトップスを脱ぎ、下着姿でワンピースに袖を通そうとしていた。

Facebook にシェア
GREE にシェア
このエントリーをはてなブックマークに追加
[`evernote` not found]
[`yahoo` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


dummy dummy dummy