小説「サークル○サークル」01-286. 「加速」

「今日は行きつけの和食屋さんなんてどうかなって思うんだけど、そこでいいかしら?」
「はい! 最近、和食好きなんで、嬉しいです!」
 レナは笑顔でアスカの質問に答える。こんなにも素直な笑顔を向けるレナを見ていると、ヒサシのことが許せない気持ちになるから不思議だ。明らかに良心のある大人のすることではないな、とヒサシの行動を思った。
 不倫は男女ともに非がある。けれど、レナはまだ若く、恋に恋する年頃だ。そんな女の子相手に大人がちょっかいを出していいわけがないのだ。
 今日、レナにヒサシとの別れを決意させる。それがアスカのやるべきことだった。依頼の期限を考えても、今日は絶対に失敗が出来ない。アスカは歩きながら、話の持って行き方をもう一度反芻していた。
「あの……アスカさん」
「何?」
「いえ……何でもないです」
 レナは何かを言おうとしてやめた。アスカは気になったが、敢えて、深くは訊かなかった。話す必要があることなら、レナが自分で話すだろう。

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