小説「サークル○サークル」01-274. 「加速」

アスカは黙ったままのシンゴから視線を外し、視線を床に落とした。
「料理もシンゴの方が上手だし、家事を張りきったら、ケガするし……」
「……気にすることないよ」
辛うじて、シンゴは返事をする。きっとアスカは軽い前置きをしているのだろう。シンゴはそう思いながら、アスカの次の言葉を待った。
「私、奥さんとして失格だよね」
「……」
それは浮気のことを指しているのだろうか? だとしたら、間違いなく、イエスだとシンゴは思った。けれど、シンゴは何も言わない。浮気の話を自分から切り出すまで、シンゴは核心に触れるつもりはなかった。
「私ね、仕事を一生懸命して、家事もそつなくこなしてくれるシンゴを見ていて思ったの。私って仕事を言い訳にしてるだけなんだなって。これからはもっともっと頑張るから。だから……」
「……」
「嫌いにならないでね」
「……?」
シンゴはアスカの言葉に違和感を覚える。シンゴが予想していたのは、こんな言葉ではなかった。

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