小説「サークル○サークル」01-240. 「加速」

けれど、レナはどうしてそこまでヒサシを必要としているのだろうか。アスカは可能性を模索する。
そこで彼女が思いついたのは、金銭的な援助だった。けれど、金銭的な援助であれば、レナの容姿をもってすれば、ヒサシに固執することもないだろう、という気もする。
アスカは質問を重ねた。
「その気持ち、わかるわ……。でも、どうして、彼がいないと生きていけないと思うの?」
「それは……」
レナは言いづらそうに視線を泳がせる。訊かれたくないことだったのだろう。アスカは質問するのが早かったかもしれない、と思ったものの、口に出してしまった言葉を取り消すことは出来ない。レナが答えてくれるのを黙って待つしかなかった。
「私にもよくわからないんですけど、きっと……私に優しくしてくれるのは彼だけで、私を必要としてくれるのも彼だけだったからだと思います」
「必要とされる?」
「ええ、彼は私がいないと生きていけないと言ってくれたんです」
アスカは思わず頭を抱えたくなった。その衝動を我慢して、優しい眼差しを崩さないようにレナを見た。

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