小説「サークル○サークル」01-232. 「加速」

 適当に注文を済ませ、アスカはレナと他愛ない会話を交わす。アスカがしたいのは、こんな話ではない。けれど、すぐに本題に入ってしまっては、警戒される恐れがあった。すでにアスカはレナに自分が別れさせ屋であると名乗っているのだ。
 お酒も進み、二杯目が運ばれてきたところで、アスカは口火を切った。
「レナちゃんは彼氏とかいるの?」
「はい……。一応」
「どんな人?」
 アスカの問いに一瞬躊躇いを見せたものの、レナはヒサシのことを思い出したのか、すぐに笑顔に戻った。
「社会人なんですけど、頭が良くて、カッコ良くて、優しくて……素敵な彼です」
「へぇ、いいわね。羨ましいわ」
「アスカさんんは彼氏いるんですか?」
「一応ね」
 アスカは言って苦笑する。勿論、演技だったが、結婚生活を続けていると、苦笑したくなることも多々あるのは事実だった。
「どんな彼氏さんなんですか?」
「そうねぇ……。不器用でどんくさくって、だけど、憎めない人よ」
「へぇ……意外です」
 レナは大きな目を更に大きくして驚いた。

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