小説「サークル○サークル」01-228. 「加速」

やがて、映画はエンドロールを迎えた。
エンドロールが終わった後、館内に電気が点く。二、三言葉を交わして、アスカとレナは立ち上がり、映画館を出た。
「誘ってくださって、ありがとうございました」
レナはにこっと微笑むと、頭を下げる。
「いいのよ。ペアの鑑賞券もらっただけだし。こちらこそ、付き合ってくれてありがとう」
「実はずっと仲良くなりたいなって思ってたんです」
レナは少し頬を染め、アスカを窺うように見た。
「私と?」
アスカは半分演技をしながら答える。
「はい。いつもスマートでカッコ良くて、素敵だなぁって思ってて」
レナはものの言い方もしくざの一つ一つも、どれをとっても可愛らしかった。マキコとは真反対のタイプだ。ヒサシがレナに惹かれるのも、少しわかるような気がするな、とアスカは思った。
「この後、時間はある?」
アスカの目的は映画を観た後にあった。食事に誘い、ヒサシとの関係を聞き出すのだ。聞き出した後、数日から数週間でヒサシと別れさせるのがアスカの目標だった。

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