小説「サークル○サークル」01-225. 「加速」

本能で浮気をするのだとしても、少しは申し訳なさそうにしてもらいたいのだ。本心でどう思っているかはこの際問わない。少なくとも、自分の目には後悔していたり、反省していたりしているように映るように振る舞ってほしいのだ。
けれど、映画の中の男にはそれがない。
フィクションだとわかっているけれど、アスカは沸々と沸きあがる怒りを抑えることが出来なかった。それはきっと、ヒサシの態度とその男の態度が重なっているからだろう。
よくよく考えると、ヒサシはとんでもない男だ。妻がいながら、レナという愛人を作り、本命の愛人以外にもたくさんの女と簡単に寝てしまう。
なのに、アスカはそんな男に想いを寄せてしまったのだ。愚かだ。自分を心底バカだと思った。
それでも、どこかでまだヒサシを求めてしまっている自分にアスカはうんざりしていた。
レナとヒサシを別れさせるのは、別れさせ屋の仕事としてだったけれど、どこかで自分の為でもあるような気さえしていた。

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