小説「サークル○サークル」01-206. 「加速」

「君はどうするつもり?」
シンゴの言葉にユウキは押し黙る。シンゴはユウキが口を開くのをじっと待っていた。
いくら時間が経っただろうか。漸く、ユウキが口を開いた頃、シンゴの持つホットカフェオレはすでに空になっていた。
「どうしたらいいのかわかりません。だけど、彼女を守りたいって思うんです」
「じゃあ、君はどうしたら守ることになると思うの?」
「それは……」
ユウキは一瞬シンゴを見て、再び黙った。シンゴはそんなユウキから視線をそらすと、目の前の芝生を見た。今日も犬が飼い主と戯れている。シンゴは幸せそうでいいな、と思った。そんなことを思う自分は幸せだと思っていないのだと、シンゴはこの時気が付いた。やはり、アスカの浮気が思いの外、効いているようだ。
「彼女をあの男から離して、オレが彼女を経済的にも物理的にも精神的にも守ります!」
あらゆるものから守ると言いたいのだろう。シンゴはそんなユウキの言葉に、まだまだ若いな、と思った。

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