小説「サークル○サークル」01-186. 「加速」

 アスカはカウンターでホワイトモカを受け取ると、喫煙席へと向かう。
 ガラスで区切られたスペースに灰皿を持って行き、レナの姿がよく見える席を選んで、
ソファに腰を下ろした。アスカの他に客は1人しかいない。会社の就業時間内なので、こんな時間に店内でのんびりくつろげる人は少ないのは当たり前だった。
 アスカはホワイトモカに一口、口をつけると、すぐさま煙草に火をつけた。ホワイトモカが思いの外、甘かったのだ。アスカは毎日飲む地震をなくしていた。
 けれど、ゆっくり時間をかけて飲むことを考えると、これはこれで良いような気がしていた。
 レナはどの客にも笑顔で接している。勤務態度は至って真面目で、嫌味など全くない。大きな瞳にふんわりしたボブヘアが女の子らしく、大抵の男なら、レナのようなタイプにはいとも簡単になびいてしまうような気さえした。
 アスカはホワイトモカをちびちびと飲みながら、そのほとんどの時間を煙草を吸うことに費やしていた。

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