小説「サークル○サークル」01-184. 「加速」

 翌朝、アスカはジムで汗を流すと、レナの働くカフェへと向かっていた。アスカは今日何度目かの欠伸をかみ殺す。
 さすがに久々の早起きはアラサーの身体には堪えた。しかも、その後、アスカを待っているのは、ジムのトレーニングマシーンだ。元々、文科系で運動とは無縁の学生時代を送って来た。そんなアスカがジムに通って、運動をすることになるとは、誰が予想出来ただろうか。アスカ自身、全く想像のつかない出来事だった。人生は何があるかわからないものたなぁ、としみじみ思う。これから、毎日この生活をしなければならないのかと思うと、アスカは憂鬱だった。
 アスカはジムから数分の場所に位置するカフェへとやって来ていた。問題はヒサシと鉢合わせないかということだった。少しだけ緊張しながら、カフェの自動ドアの前に立つ。
「いらっしゃいませー!」
 自動が開いた瞬間、笑顔で迎えてくれたのは、他でもないレナだった。
 アスカは澄ました顔でレジへと向かう。カウンターにはドリンクメニューが置かれてあった。

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