小説「サークル○サークル」01-175. 「加速」

 食事を終えた後、アスカは身支度をして、仕事へと出掛けた。帰りにそのままジムの入会申し込みをしてくるそうだ。
 シンゴはパソコンの前に座り、電源を入れ、立ち上げる。アスカが帰ってくるまでに、設定を作り直す為だ。
 いつも通り、文章を作成していく。
 大方、設定が出来上がったところで、ふとターゲットのことが過ぎった。
 今、こうして、自分が設定を作っている間にも、アスカとターゲットは会っているのだろうか。そう思うだけで、シンゴの胸の奥は予想をはるかに超える痛みを訴えた。シンゴはこんなことを考えることにも慣れたと思っていたし、ある程度の諦めもついているような気でいた。
 しかし、本当はそんなことはない。ただただアスカに自分だけを見ていてもらいたいのだ。
 ふいにアスカが食事中に言った「なんだか、ちゃんとシンゴの顔を見ていなかった気がして」という言葉を思い出していた。
 シンゴはアスカがどういう気持ちで言ったのかを考えて、溜め息をついた。

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