小説「サークル○サークル」01-137. 「加速」

 アスカは事務所の机の上に足を上げ、書類に目を通していた。昨日、バーでの仕事が終わると、すぐに事務所に戻り、書類の整理をしていた。マキコからの依頼以外にもエミリーポエムには様々な依頼が舞い込んでくる。アスカ以外の従業員が担当している案件であっても、所長であるアスカが確認をしないわけにはいかない。たまたま、バーでの潜入と書類のチェックの日程がかぶってしまったのだ。家に連絡も入れず、事務所に直行したことで、シンゴが心配しているかもしれないな、と煙草に火を点けながらアスカは思った。
 電話でもしようかな……と思ったものの、仕事をしていたら邪魔はしたくない、と思い、結局、シンゴに電話はかけなかった。
 アスカは煙草の煙を天井に向かって吐き出しながら、昨日の夜の出来事を思い出す。
 バーで仕事をしていたら、いつものようにヒサシが女連れでやって来た。自分のことを誘っておいて、別の女と店に来るなんていい度胸をしているな、と思ったのも束の間、やはり動揺していたようで、アスカは普段しないようなミスをした。

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