小説「サークル○サークル」01-74. 「動揺」

 シンゴは自分の過去を思い返す。アスカとの結婚はシンゴにとって、二度目の結婚だった。一度目は担当編集者と結婚した。けれど、長くは続かなかった。仕事中だけでなく、プライベートな時間まで、仕事のことが過ぎるようになってしまい、シンゴは一緒にいることを窮屈に感じるようになってしまった。勿論、だからと言って、シンゴは浮気などしなかった。それは妻に対しての誠意などではなく、そういった環境になかったことと、浮気をするだけの度胸がなかったからだ。浮気をするには、それなりの覚悟がいる。バレた時にどうやって切り抜けるのか。バレれば罵られるかもしれないし、殴られるかもしれない。ただ愛想を尽かされるだけかもしれないし、泣かれるかもしれない。どんなことが待っているのかわからなかったけれど、修羅場を迎える可能性は高い。そうなった時、自分がどんな状況にも耐えうるだけの強いハートを持っているのか、と自問した際、シンゴの答えはノーだった。強いハートがないのであれば、浮気はしない方が良い、とシンゴは結論付けたのだ。

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