小説「サークル○サークル」01-423. 「加速」

「それでどうなったの?」
興味津々といったようにシンゴはアスカに続きを促した。
「ターゲットは奥さんに詰め寄ることなく、“浮気って、されるとこんなにも心が痛いものなんですね”って言って、先に一人で出て行っちゃったのよ」
「へぇ……」
シンゴは意外だと言いたげに相槌を打った。
「でも、これでターゲットの方は一段落したし、明日、依頼者に連絡して、成功を報告すれば今回の案件は終了するわ」
「そっか。それは良かったね。お疲れ様」
「うん、ありがとう」
アスカはシンゴの労いに微笑む。
漸く、随分と手を焼いていた仕事が片付くのだ。アスカはほっとしながら、熱々のビーフシチューを口に運んだ。
シンゴの作る、いつも通りの、ビーフシチューの味がした。

翌朝、アスカは事務所に行くと、早速、マキコに連絡を入れた。
結果、報告をしたい旨を伝えると、すぐに来るという返事をもらった。
アスカはどういった流れで、話を持って行こうか、と頭を悩ませていた。


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