小説「サークル○サークル」01-413. 「加速」

アスカはなるようにしかならない、と思っている反面、彼女の心の中から緊張が消えることはなかった。
「好きな人と一緒にいられる幸せ、とおっしゃいましたよね?」
「ええ」
「その好きな人と一緒にいる幸せとは、お互いがお互いだけを思い合ってる時にこそ、そこに存在するものではないでしょうか?」
「何をおっしゃりたいのかさっぱりわかりません」
「あなたには奥様がいらっしゃるんです。あなたが口ではいくらレナが一番だと言ったところで、二番は奥様ですよね。好きな人に順番がある時点で、その類の幸せは存在しないのではないでしょうか?」
ユウキの言葉にヒサシは「なるほど」と言い、ほくそ笑んだ。
「確かに私には二人の女性がいます。けれど、こうは考えられないでしょうか? 片思いであっても、好きな人に会える幸せは感じますよね? 好きな人に会える幸せというのは、片思いであるか、両思いであるかなんて、関係ないとは思いませんか?」
ヒサシの言葉にユウキは黙った。


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